たぶん日本一詳しいスクルトゥーラ・エンデュランスのインプレ:その2(スペック&ジオメトリーについて)

この夏に当店に試乗車として導入したSCULTURA ENDURANCE(スクルトゥーラエンデュランス)、すでに1000キロ以上走り込んで色々見えてきました。

かなり気に入っており、ぜひおすすめしたい1台だと感じております。

それゆえ、気に入っているからこそ「ここはちょっとな」と思う部分も厳しい目に指摘していきたいと思います。

今回はジオメトリーやスペックについてお話し出来ればと思います。

ちなみに試乗車として導入したのはスクルトゥーラエンデュランスの最上位モデルSCULTURA ENDURANCE 8000だったのですが、標準装備のまま乗ろうと思っていたところ、ポジションが出なくて色々いじっている間にフレーム以外は全部違う部品に換えてしまいました。

標準装備のscultura endurance 8000がこちら

フレーム以外全部チェンジした状態がこちら

上がノーマルで下が色々パーツを交換後。だいぶ変えてしまった。

「これでは標準装備の評価は出来ないじゃん」と言う指摘も有るかと思いますが、パーツを色々変えたことで純粋にフレームの性能を評価できたと思っております。お許しください。

なお、ジオメトリーについては同社の純レースバイクのトップモデルREACTO TEAMとの比較になります。

私のメインバイクREACTO TEAM。こちらを比較対象としてインプレします。

私のメインバイクがREACTO TEAM(XXSサイズ:推奨身長160~170cm)なのでSCULTURA ENDURANCE 8000 (XXSサイズ:推奨身長160~170cm)と比較対象としては最適かと思います。

それでは早速ジオメトリーを比較していきましょう。

また、ジオメトリーやパーツについてどのようにパーツを交換してかも書いていきます。

左がスクルトゥーラエンデュランス、右がリアクトのジオメトリー。どちらもXXSサイズ。

■リーチとスタック

ポジション的な最大の特徴はリアクトと比べてハンドルが高くて近いこと。

リーチはリアクトが377mmに対してスクルトゥーラ・エンデュランスは360mm。17mmの差は大きい。

スクルトゥーラ・エンデュランスはリアクトよりシートアングルが0.5度倒れており、その上トップチューブが5mm短いからリーチはかなり短くなる。しかも、同サイズのリアクトはステム長が100mmなのに対しステム長80mm。より一層ハンドルが近くなる。

むしろリアクトに慣れている人間からするとさすがに近すぎる。

スタックも同様。

リアクトが517mmに対してスクルトゥーラ・エンデュランスは539mm。その差22mm。

ヘッドチューブ長はXXSサイズで140mm。

他メーカーでも、エンデュランスロードのハンドル高過ぎ問題は散見されるが、メリダはその中でも特にハンドルが高い。

ハンドルを高くしたい人はスペーサーを入れればポジションを出せるが、低くしようと思ってもこれ以上下げることはできない。この辺はメーカーの方にもモデルチェンジの際に改定を検討頂きたい。

しかも、上位モデルの8000と6000にはケーブル類をセミインテグレーテッド化するためにFSAのSMR-6(長さ80mm)と言うステムが付いている。このステム、セミインテグレーテッド化するためのガイドがステムの下に装着されており、この分の高さ約20mmがさらにハンドル位置を高くする。

SCULTURA ENDURANCE 8000に標準装備されているFSA製のステム。ステムの下にケーブル類のガイドが付いているため20mm高さが増してしまう。

その結果、リアクトと比べてハンドル位置が50mmくらい高くなり、40mmくらい近くなる。ここまでくると同じXXSサイズでもリアクトとは全く別のポジションになり、窮屈に感じる。

スポーツサイクリングを始めたばかりの方や身体が硬い方はこれが案外丁度良いんだろうけど、低くて近いハンドル位置が好みの自分としては理想のポジションが出ない。

そこでコックピット周りはこのようにトランスフォーメーションしてしまった。

もともとカーボンハンドルに交換するつもりだったので、シクロクロスバイクからのおさがりのITM・ファトムⅡをインストール
在庫していたTNIの水平ステムに交換。短いReachを調整するために長さは110mmを使用。

(この辺をいじり出したのを機に、そこからフレーム以外のパーツを変えてしまうことになる)

まずステム。

FSAのセミインテグラス用のステムは非常に見た目がすっきりしているが、ここは見た目よりもポジション出しを重視。

ガイドがないのでケーブルむき出しになるが、手近にあったTNIの水平ステムで可能な限りハンドルを下げる。

ついでにステムも110mmの長い奴にすることでハンドルまでの距離もリアクトに近い感覚にする。

ちなみにガイドが無いのでケーブルを脇へ逃がすために、ステムの下に5mmのスペーサーを入れて最低限のクリアランスを確保している。これで15mmハンドルを下げられた。

なお、スクルトゥーラ・エンデュランス5000と4000はセミインテグレーテッド化されておらず、ヘッドパーツのトップカバーをオリジナルのものにしてケーブルを通している。

SCULTURA ENDURANCE 4000等のグレードはセミインテグラル化されていないのでステムの自由度が高い。

これなら高さ問題はだいぶ改善されるし、ステムの自由度も増す。ハンドルを低くしたい人はあえてこのグレード購入するのも手だと思う(自分もこのトップカバーが手に入るなら欲しい)。

いろいろいじってリアクトよりちょっと高いくらいまでハンドル高を下げた。

これでだいぶ“普通のロードのポジション”になったと思います。

■BB付近とリアステー

意外だったのはBBハイト。

脚へのやさしさと乗り心地を良くするためにBBは下がっているだろうと思っていたが、むしろリアクトの方がBBが2mm低い。確かにリアクトはBBが低いんだけど、スクルトゥーラエンデュランスはもっと低いだろう御思っていたので意外だった。

逆にチェーンステーはリアクトよりもスクルトゥーラ・エンデュランスの方が10mm長くて、この辺はコンフォートな設計だなと感じる。チェーンステー&シートステーの形状に関しても、バリバリ剛性高そうなリアクトに対して、スクルトゥーラ・エンデュランスは細身でベントも多い。この辺は衝撃吸収と脚へ来ない剛性感を演出している。

細身で程よくベントされたリアステーが繊細な乗り味を演出する。
ちなみにこれがリアクトのリアステー。剛性感バリバリ。

シートステーとシートチューブの接点についても、リアクトは最近よく見る低い位置に接点を持って来て剛性を出す造りなのに対して、スクルトゥーラ・エンデュランスはトップチューブ付近まで持って来ている。

そしてこの形状。

スクルトゥーラ・エンデュランスとグラベルバイクのSILEXのシート周りの形状が酷似している。

シートステーとシートチューブの接合部。剛性を求めるレーシングバイクより高い位置に設定されている。
こちらはSILEXのシートステーとシートチューブの接合部。形状が酷似。

きっとメリダのエンデュランス系バイクはショック吸収性を求めてこのデザインに行きついたのだろう。

■フロントフォーク

フロントフォークはリアクトと比べると外観はこんな感じ。

細身でしなやかなフォーク。

剛性と乗り心地を両立したリアクトのフォーク。これはこれで秀逸。

正直、このフレームの特性に一番貢献しているのはしなやかなリア三角だと思うけど、フォークも当然前方向の乗り心地向上に貢献している。

リアクトと比べると細身なフロントフォークが微振動を吸収している。それでいて剛性をしっかり確保されていて、ハイスピードコーナーも安心して曲がれる。特に峠の下りでよくある減速用の凹凸も良い具合にいなしてくれるので、下りも安心感がある。

■ボトルゲージの取り付け位置

個人的に良いなと思ったのがボトルゲージの取り付け位置。

自分のように小柄でXXSサイズなんて自転車に乗っていると、フレームが小さくてボトルがフレームと当たって取りにくい。

ましや夏場はロング形状の保冷ボトルを使っているからかなりボトルが取り辛い。

しかし、このスクルトゥーラ・エンデュランスは絶妙に低い位置にボトルゲージが取り付けられていてボトルが取りやすい。

ロングを使う夏場だからこそ感じたものかも知れないが、これは評価ポイントだった。

低すぎもせず、それでいてボトルがフレームに当たらずに取れる絶妙な高さのボトルゲージの位置。

■その他交換した部品たち

ハンドル、サドルは交換。ついでにコンポもホイールも交換。

スクルトゥーラ・エンデュランス8000は12sのアルテグラDi2をメインコンポにカーボンホイールを履かせた同ブランド最上級のエンデュランスロードバイクである。価格は税込み880,000円。

それにふさわしいパッケージだと思っているが、ちょっと気になったのはハンドルとタイヤ。

ハンドルは一度カーボンを使い始めるとアルミには戻れない。それくらい微振動の吸収性が良く、乗り心地が向上する。

しかし、乗り心地勝負のエンデュランスバイクでありながらアルミのハンドルが付いている。出来れば上のグレードはカーボンハンドルを付けて欲しい。

まあ、最近はMERIDAがオリジナルで作っているカーボンハンドルは普通のスクルトゥーラのようなステム一体型のカーボンハンドルになってしまうので、レーシングバイクほどハンドル周りの剛性を求めていないスクルトゥーラ・エンデュランスには一体型はマッチしなかったと言う事情も分かる。

と言うわけで、とりあえず自分の乗る分は即座にカーボンハンドルに交換。

ちょうど、シクロクロスで以前使っていたITMのファトムⅡが余っていたのでこれをインストール。

(※シクロクロス用なのでワンサイズハンドル幅が広い420mmだが、そこは一旦気にせず)。

ちなみにこのハンドル、ブレーキケーブルを通す穴があるため、ホース類を一度取り外す作業が発生。

そうやって作業をしているうちに

いっそ、メインバイクのリアクトに新型のアルテグラを付けて、スクルトゥーラ・エンデュランスはリアクトに付いていた旧型のデュラエースで良いや。

と思い、おもむろにコンポをトランスフォーメーション。

そして、もう1つ気になったのがタイヤ。

標準装備はContinental GP5000。タイヤ幅が32mmなのはエンデュランスっぽくて良いのだが、TL対応していない。

乗り心地を重視するならやっぱりTLで低気圧だと思う。

そこでタイヤだけ交換しようと思ったが、いっそ同じ条件でインプレしようと思って、最近までリアクトに付けていた練習用ホイールをスクルトゥーラ・エンデュランスに装着。これでずっとリアクトに乗っていたのと同じ条件でインプレア出来る。

ちなみに練習用ホイールと言ってもサピムのCX-RAYのストレートスポークを使ってテンション高めに組んだかなり走るホイール。タイヤはIRCのFORMULA PRO X-GUARD 30mmが付いており、ミニマム5気圧の低圧で走れて乗り心地がかなり良い。

あと、とどめにサドルも交換。

標準装備ではPrologoのSCRATCH M5が付いている。

これはリアクトにもついているので自分も慣れ親しんだサドルで有り、このままでも全然良い。

ただ、エンデュランスバイクならば、もっと座布団系の乗り心地重視のサドルに交換したい。

そこでおっさん世代には懐かしさがたまらないAVOCETのO2サドル(チタンレール)に交換。

未使用のデットストックをいよいよここで登用。

アラフォー以上しか分からない隠れた名サドル。AVOCET O2チタンで異次元の乗り心地を実現。

最後のデットストックと言うことで一瞬使うか迷ったけど、使わなければただの箪笥の肥やし。3年くらいつかって破れてきたら、その頃に出回っているイイ感じのサドルに交換すれば良いかなと。

そんな感じで組み上げたのがこのA-CAP仕様のスクルトゥーラ・エンデュランス8000。

フレーム以外全部変わってしまいました。

バーテープは1つだけ残っていたfabricのシリコンバーテープの青色をチョイス。

握り心地は良いんだけど、このフレームカラーにこの色は少し浮くなと思いつつ、しばらくはコレで行ってみようと思います。

次回は乗り心地についてです。

先に答えを言ってしまいますが、かなり良いです。